大学生の本記録

その辺ににいる大学生の小説備忘録です。おすすめ度は5段階評価

マスカレードナイト

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●あらすじ

東京都練馬区のマンションで、若い女性の遺体が発見された。その後捜査を進める中で、警視庁に密告状が届く。内容は、大晦日に高級ホテル「コルテシア東京」に犯人が現れるので、逮捕してほしいというものであった。

数年前の潜入捜査で、ホテルクラークとして奮闘した捜査一課の新田は、再びフロントに立つことになる。今回の指導係は堅物の氏原で、新田は接客をさせてもらえない。そんな中、いかにも怪しい客が幾度も現れる。

一方山岸尚美は、客の要望になんでも応えなければならない、コンシェルジュというポジション就いていた。仰天してしまうような要望にも応えなければならず、忙殺される。

お客様第一のホテル、犯人逮捕第一の警察、そして両者を翻弄する聡明な犯人。果たして悪者は捕まるのか。

 

●感想

マスカレードホテル同様、複数の楽しみ方がある。

一つ目は、ストレートにミステリを楽しむこと。しかし今回は登場人物も非常に多く、かつ犯行がトリッキーであるので、文章のみで理解するのがやや難しかった。ぜひ映画で見たいと思う。

二つ目は、コンシェルジュ尚美の活躍。日下部篤也、中根緑が持ち込む難易度の高い要望にも、鮮やかに対応する姿が非常に清々しい。薔薇が108本集まった花束のメッセージが「結婚」スイートピー花言葉が「別離、優しい思い出」ということも初耳だった。

三つ目は、新田、能勢達刑事の活躍。新田の洞察力、能勢の地道な捜査により、読者に読解のヒントを与えてくれる。

しかし最終的に全く想定していなかった黒幕登場し、唖然してしまった。非常に面白い一作。